「cookie規制で広告代理店が受ける影響が知りたい…!」
2022年4月1日年に施工される「改正個人情報保護法」よって、個人関連情報(cookie)の第三者提供が規制されます。これによりcookieを活用して獲得を行っている事業会社や広告代理店の担当者はどのような影響があるのか気になる所では無いでしょうか。
改正個人情報保護法がターゲティング広告配信に与える影響について、
個人関連情報やターゲティング広告の仕組みを踏まえて解説します。
改正個人情報保護法に関して
2022年4月に施工される改正個人情報保護法のポイントは、以下6点です。
ポイント1:本人の権利保護が強化される
参照:KEIYAKU-WATCH
ポイント2:事業者の責務が追加される
ポイント3:企業の特定分野を対象とする団体の認定団体制度が新設される
ポイント4:データの利活用が促進される
ポイント5:法令違反に対するペナルティが強化される
ポイント6:外国の事業者に対する、報告徴収・立入検査などの罰則が追加される
難しい説明は省きますが、簡単にいうと今までユーザーの情報(個人を特定できない情報)はユーザーの許可を得ること無く使用することができましたが、改正個人情報保護法が施工されると許可を得なければ使用できないことになります。
事業会社はcookie利用の承諾を求める下図のようなポップアップをWEBサイトへ設置することが義務付けされることになります。これによって、ユーザーの情報(個人を特定できない情報)の利用が制限されることに伴いcookieを使った広告配信が減少することが想定されます。
改正個人情報保護法施工で広告が受ける影響とは
インターネット広告代理店の扱う広告
インターネット広告の代理店は大きく分けて2つの広告を運用しております。改正個人情報による規制によりそれぞれの広告で影響を受けることとなりますが、影響度が異なります。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告:成果報酬型(商品が売れた場合のみ報酬が発生する)の広告。
cookie規制による影響:無
3rd party cookieを使いサイト自社サイトへの集客を行っている媒体に関しては、cookieが規制されると集客率が悪くなるため獲得へ影響します。
運用型広告
運用型広告:リアルタイムで入札額や広告素材等を変更・改善していきながら運用していく広告
cookie規制による影響:無〜大
運用型広告とは簡単に言うと、従来の「特定のサイトの枠を予約して買う」純広告とは異なる配信方法になります。運用型広告は上記の3つの広告手法があり、それぞれcookieの影響度合いが異なります。
リスティング広告
リスティング広告:検索サイトで検索結果の上部に表示される広告
cookie規制による影響:無
Google、Yahoo!等で検索ワードを指定して広告配信を実施するためcookie規制による影響はありません。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告:あらゆるサイトにある広告枠に表示される広告(見る人によって異なる)
cookie規制による影響:大
現在、cookie情報を利用して売りたい商品を買いそうなユーザー(自社サイト訪問ユーザーや商標ワードを検索したユーザー)に対して広告配信を行ってるため、 cookie規制の影響を大きく受けることが想定されます。
詳しい内容は下記でご紹介しています。
インフィード広告
インフィード広告:SNSでコンテンツ間に表示される体裁の広告(見る人によって異なる)
cookie規制による影響:大
現在、cookie情報を利用して売りたい商品を買いそうなユーザー(自社サイト訪問ユーザーや商標ワードを検索したユーザー)に対して広告配信を行ってるため、 cookie規制の影響を大きく受けることが想定されます。
ここまで理解することができればcookie規制の影響の全貌は見えてくるでしょう。
この先はもう少し細かい所まで紹介していきます。
”広告関連のお仕事をしている方は是非覚えておきましょう。
ディスプレイ広告の細かい手法
cookieによる規制を大きく受けるのはディスプレイ広告になります。ディスプレイ広告には大きく3つの配信方法があり、それぞれcookie規制における影響度が異なります。
それぞれ解説していきます。
リターゲティング配信
リターゲティング配信:自社サイト訪問ユーザーに対して広告配信を行う。
cookie規制による影響:大
自社サイト訪問ユーザーに対して目印(cookie)を付けて、追尾を行います。その目印をつけたユーザーがGoogleやYahoo!が連携している広告枠を見ると自社商品に関連のある商品の広告が表示されます。
運用型広告のディスプレイ広告の手法で最も獲得率が高い配信手法になります。自社サイト訪問ユーザーは商品への購入意欲が高いユーザーなので、追跡して広告配信を行うことで、商品を購入する可能性が高くなります。
cookieを使用しているので、規制の影響を大きく受けることが予想されます。
ターゲティング配信
ターゲティング配信:性別・年齢・年収などで絞り込んだ対象ユーザーに広告配信を行う。
cookie規制による影響:中
媒体の配信設定の際に、広告配信対象のユーザーの属性情報を入力をする事で、AIによって対象ユーザーに対して広告配信を行います。リターゲティングのように実際に商品を購入しようと行動したユーザーでは無いので獲得の効率面では精度は落ちます。
cookieの情報を一部使用しているので、規制の影響は中程度考えられる。
ノンターゲティング配信
ノンターゲティング配信:ターゲットを絞らずに広告配信を行う。
cookie規制による影響:無
主に認知を目的とした配信方法でTVCMは主にノンターゲティング配信になります。近年、WEBでもYoutubeなど動画視聴媒体でこの手法での配信が行われています。各企業は認知で商品を広く認知させ、自社サイトへ誘導→リターゲティング配信で刈り取り(獲得)を行うというのが通常の流れです。
cookieの情報を使用してい無いので、規制の影響は無いと想定されます。
【今後】cookieに頼らない広告手法
改正個人情報保護法やITPによりcookieによる広告配信が出来なくなる未来が刻々と近づいております。そうなれば、どのような手法を用いて広告配信をするのか気になる方は多いのではないでしょうか。
cookieによるリターゲティングが出来なくなる場合、広告配信でお金儲けている媒体に関しては死活問題です。そのため、cookieの代替となる方法を各媒体が血眼になって探しております。
そこで、下記では、cookieレス時代に行われるであろう広告手法に関してまとめております。媒体によって手法や名称は異なりますが大枠は同じなので参考にして頂けたらと思います。
純広告的広告配信
純広告的広告配信:ターゲット客層が視聴するであろう広告枠への出稿を行う手法
商品を買いそうなユーザーの年齢・性別等の属性や行動パターンを考え先回りして広告を表示させる手法。現在のWEB広告は個別のユーザーを指定して広告配信を行うのに対して、純広告的広告配信はユーザーではなく枠へ広告配信を行います。
例)育毛剤を売りたい場合
育毛剤を必要とする30~40代の男性が閲覧しそうなWEBサイト(釣具販売サイトやゴルフサイト)に広告枠に対して広告配信を行う。獲得効率は非常に悪いことが想定される。
各媒体が開発している新技術
各媒体(GoogleやYahoo!等)が開発しているcookieを使用しないターゲティング手法です。個人を特定せずにターゲットを絞り込む方法を用いて広告を表示する機能でGoogleが開発している「FLoc」が有名です。
FLocに関する詳細はこちら
まとめ
2022年4月1日年に施工される「改正個人情報保護法」よって、個人関連情報(cookie)の第三者提供が規制されます。これにより事業会社はcookieを承諾を促すポップアップを表示することが義務化され今までのような広告による効率の良い獲得が出来なくなります。
しかし、媒体社にとっては効率が悪くなり貰える費用が減少するのは何とか避けたいので、cookieにの代替案として新しい広告手法を模索しています。
いずれにせよ、個人情報保護法の施工はWEB広告業界で業界全体で取り組むべき課題なので、本記事で現状起きていること、これからの流れをインプットしておくことは非常に大事なことでしょう。